色鉛筆

絵本専門士

絵本専門士とは

絵本専門士とは平成24年10月に開催された有識者による「絵本に係る専門家の養成に関する検討会」という
会議を発端に設置が決められた新しい資格です。
資格として運用をし始めたのは平成28年からなのでまだまだ資格の存在自体が十分に認知されていないということもありますが、
今後取得者数が増えていくことで活動の場が広がっていくことが期待されます。

この会議の設置および資格の創設の背景になっているのが、ここ数年急激に進んでいる子供たちの読書離れです。
1ヶ月のうちに1冊も本を読まないという子供の数は年々増えてきており、このままでは読書という習慣そのものが危うくなってきています。

本はインターネットやモバイル通信のような即時性はありませんが、その分じっくりと物事を考えたり論理的に考えたりしながら文章を追うという特殊な能力を培うための行為になります。
現在学校など教育機関では読書の楽しさを伝えるための活動に力を入れているのですが、それだけでは飛躍的に状況が改善するというわけではありません。

子供の時の読書数が多いほど将来社会的な能力が高くなる傾向があるとされているため、
少しでも本を読む機会を与えたいという目標のもと絵本専門士は今後活動をしていくことになります。

絵本専門士になるための方法

資格としてまだまだ出来たばかりの資格である絵本専門士では、事前に絵本や児童教育にかかわる仕事を経験してきた人のみが受験ができることとなっています。
応募資格条件は4つ挙げられており、「子供や絵本に関連する資格を有するもの」など絵本に関する業務もしくは資格がある人限定となります。

申し込み募集のあとで受講者の決定が主催団体によって定められるので、その後あらかじめ定められている講座を順に受けていくことになります。
受講では「知識を深める」「技能を高める」「感性を磨く」という3つの分野で講座が組まれており、
絵本という書籍についての理論からはじまり、読み聞かせるときのコツなど幅広く学習をしていくことになります。

全ての受講が終わったところで絵本専門士委員会が受講者に対して認定を行うので、そこで合格とされると絵本専門士の認定証を発行してもらえます。
絵本専門士として登録をされると公式サイトに名簿が公開されるとともにその後の活動に「絵本専門士」という職業名称が使用できます。

絵本専門士として行っていく仕事

絵本専門士はまだ認定者の人数は100名程度しかいませんが、既に広いジャンルでの活動を開始しています。
主な活動場所としては地域にある図書館や幼稚園や小学校といった子供のための教育をする場所が挙げられます。
他にも病院内で活動する病棟保育士といった人の中にも絵本専門士としてのスキルを活かした活動をしている人が見られます。

既に保育士や幼稚園教諭、小学校の先生として勤務をしている人ならば授業に直接導入することもできますし、
学校外の活動としてワークショップを開催し多くの人を集めて絵本についての語らいをするということもあります。
子供を集めたイベントだけでなく子供を育てる親に向けて絵本理論を教えるセミナーを開いたりするということもできます。

そうしたイベントでは素晴らしい絵本と人とが出会うだけでなく、
絵本を通して多くの人の輪ができるのでそこからぜひ地域の絵本ネットワークを積極的に作っていってもらいたいです。