保育士確保の緊急対策

大きく制度が変更されている保育士制度

日本国内において職業を持つ両親がいる家庭において子供の育児を依頼するのは主に公立の保育所や幼稚園となります。

しかし少子化が進む一方でそうした公的な託児施設を利用したいと考える世帯の数は急増をしてきており
、事実上全く需要に対して供給が行えていないという状態が起こってしまっています。

高齢者に対する入所施設の制限も深刻な問題ですが、それ以上に今後成長をして国の中核を担っていくことになるだろう子供たちの受け入れ場所不足はより深刻であり、
十分な受け入れ先が確保できないために母親である女性がその後の就労を諦めたり、子供が必要な就学前の教育を受けることができない施設に入れられてしまうということがあります。

そうした社会問題に対応するために国や自治体は独自の施策を行っているのですが、中でも現職の保育士や幼稚園教諭に大きな衝撃を与えたのが「保育士資格がない人でも勤務ができる」という国の方針です。

平成27年12月4日に厚生労働省がとりまとめた「保育の担い手確保に向けた緊急的な取りまとめ」によるものなのですが
これが公表されると同時にSNSでは大きく拡散し現在保育の現場に携わっている人の多くに悪い意味での衝撃を与えました。

そもそもこれまで何のために保育士資格があったのか

意外なほど世間的にあまり広く知られていないのですが、保育士資格は取得をすることがとても難しく
専門の養成課程がある学校を卒業するかもしくは独学で必要な知識を得てから国家試験を受けなくてはいけません。

それでも以前よりかなり規制がゆるくなってきたという感じはあるのですが、それでも資格取得の難易度は他の民間資格よりもかなり難しいと言ってよいでしょう。

しかしながらそうして苦労をして資格を取得した人の全てが保育の仕事をしているかというとそういうわけではなく、
給与を含めた待遇の悪さから資格はあるものの保育の仕事にはつかないという人も数多くいるというのが現状なのです。

そこで「資格がなくても就業ができるようにする」という施策はまさにより保育士の待遇を悪くするものでしかなく、
本当は保育の仕事をしたいのに待遇が悪すぎるがゆえに勤務ができないという人たちを踏みつけにするようなものとなりました。

SNSの拡散によりかなりこの施策は厳しい目が向けられるようになりましたが、今後より保育業界の待遇劣化が勧められることは考えられます。
そうしたところを注視し問題提起していくことも保育士たちの役目と言えるでしょう。