病棟保育士とはどういう仕事か

子供にとって重い病気のために入院をしなければならなくなるのは大変つらいことです。
保護者の方が付き添いをしてくれることもありますが、それでも元気に走り回ったりして遊ぶことができず無機質な病院内で長く生活をしなければいけないというのは精神的に大きな負担となります。

現在子供のための医療技術はかなり高度になってきており、小児科では多くの難病も治療によって回復をすることができるようになっています。
しかし一方で治療を受ける子供のための精神的なケアや、入院中の教育といったようなことが後回しになってきたということも言えます。

病棟保育士はそうした治療をするために長い期間を要する子供たちに対し、病院内での生活をよりよくしていくための活動をする仕事です。
病棟保育士が行うのは「医療保育」という新しく登場してきた概念による作業であり、通常の保育分野の知識だけでなく保健や福祉、教育、労働といった多面的な専門家と協力をしてその体系が作られています。

医療保育や病棟保育士という仕事が一般に認知されるようになったのはついここ数年のことですが、法的基準のない以前からも多くの医療の現場では勤務をする人材が置かれており、古くは1994年ころから活動がされていたと言われます。

全国の小児科の1割に保育士が置かれています

少しデータは古いですが、2005年度の調査によると全国にある小児科病棟がある病院のうち約10%の施設に保育士資格所有者を置いているという結果が出されています。
こうした施設で勤務をする保育士は「病棟保育士」と呼ばれており、現在では当時よりもさらに勤務人数は増加しているだろうことが予想されます。

病棟保育士の仕事は入院をしている子供に対して、医療担当者の指示を受けつつ健康状態に配慮をした遊びや教育をしていくことです。
幼児期というのは脳が急激に発達するとともに、将来に渡る身の回りの行動をできるようにする重要な時期であるので、言葉や文字についての学習をしながら着替えや排泄といったものをトレーニングしていきます。

ただこうした医療を要する子供に対しての教育については保護者の理解が不可欠になるので、どういった方向で子供に接していくかについては病院施設が一方的に行っていくのではなく随時保護者に説明をして協力を取り付けていくようにします。

病棟保育士はそうした保護者との連携も重要となるので、医療関係者と患者さん本人と家族の間に達その二つの意見をうまくまとめていくという能力も必要です。

病棟保育士の求人はそれほど多くありません

ここ最近の傾向として、保育士資格を持つ人は保育園やその他の託児施設ではなく、病棟保育士のような特殊な職種を希望するということが増えてきています。

特に最初は保育士として保育所・保育園に勤務をしてきたという人が、何らかの事情により一旦退職をしたあとには復職先として病棟保育士のような仕事を選びたいとする意向が多くなります。
病院側も保育の知識だけでなく基本的な医療の知識が必要となる病棟保育士には経験や実績のあるベテランを採用したいというふうに考えるため、中堅くらいの保育士さんが広く活躍できる場となっています。

しかし一方で保育士という仕事全体で見ると病棟保育士の求人は決して多いものではありません。
むしろ需給ギャップ的には供給側である希望者の方が多いという状態が続いているので、これから目指そうという保育士さんにとってはちょっと厳しい状態にあると言ってよいでしょう。

医療系や介護系の資格を保育士資格とは別に所有していると採用のチャンスが広がるので、まずはそうしたスキルアップを目指すのがよい方法と言えます。