男性保育士が抱える弊害とは

「男性保育士嫌い」は何が原因になっているのか

2017年2月に、千葉市が4月より10年計画で実施を予定している「私立保育所男性保育士活躍推進プラン」について、千葉市長である熊谷逸人氏がツイッターで発言した内容が大きな議論を呼びました。

というのはツイートで市長は「男性保育士に女児の着替えやおむつ交換を担当させないのは性差別」といったかなり過激な内容を発言したからです。

それに対して千葉市内の保護者を中心に配慮を求める声が多く寄せられ、そこから「男性保育士」としての仕事や役割とはどういうものかという話に発展しました。

男性保育士は現在法律上では就業することが平等に認められているのですが、実際の就職状況を見てみると勤務している人の割合は1割以下となっており、なかなか増加のスピードが上がらないのが現状です。

しかし大学や短大の保育士養成課程には男子学生が多く入学しており、勤務を希望する人の割合は決して少なくはありません。

なぜ保護者が男性保育士からのケアを嫌がるかというと、その理由としてまず一番に挙げられるのが「性虐待の危険」です。

性的虐待は社会問題となっており、社会全体として取り組むべき問題とされているところですが、子供を預ける場所である保育所において性別によって役割を限定してしまうことには大きなデメリットが発生します。

またまだまだ保育士の仕事は女性のものという意識があるせいか、積極的に男性保育士に預けたいという保護者はそれほど多くはないのです。

男性保育士=力仕事をさせる人という認識の誤り

一方で男性保育士が増えることを歓迎する施設や地域があるということも確かです。
男性保育士は女性の保育士にはない保育のよさがあり、家庭で男性と接触する機会の少ない子供にとっては心強い存在となってくれます。

しかしそうした「保育は女性の仕事」という意識がこのままずっと変わらないまま持たれ続けてしまうと、せっかく男性保育士が増えていっても結局は力仕事など雑用ばかりを任せられる存在になってしまい、キャリアをつなぐきっかけになりません。

確かに男性保育士が女児に接触することによる性的虐待という危険性はあるものの、それはおむつや着替えをするときに、保育士と女児が二人きりの密室にこもるといったイメージが持たれていることも関係しているようです。

実際の保育の現場においてはそうしたことはほとんどなく、他の子供や保育士の目のある中で作業として行われることが多い、というのが実情です。

ただし「男女平等」や「男女共同参画社会」という表題を実行しようとするあまり、現場や保護者が望まないような男性保育士の仕事を増やすこともまた疑問を感じるところでしょう。