キャリアアップとして選択できる園長

保育園・保育所の運営責任者となる園長職ですが、こちらは小中学校と違って確実に就任するためのルートが決まっているというわけではありません。

公立の施設と私立の施設とで全く状況が異なりますし、また保育所の中にも認可園と未認可園とがありますので、まさに施設によりその選任方法は様々であると言えるでしょう。私立の施設の場合、誰を園長にするかは運営母体となる企業の経営者の考え方によって全く異なります。

一般的にはその施設で長年勤務をしている保育士の人から選任するということが多いですが、より園としての独自色を打ち出すために外部から学識経験者を招聘したり、そもそも保育や育児関連とは異なる畑から引き抜くこともあるのです。ただし保育園という施設は子供の安全を守り、かつ重要な早期教育を行う場所であることから、やはりその園について詳しい知識を持っている人が就任することが望ましいと言えます。

独自に昇進試験制度を設けていたり、意欲のある保育士を募って園長職に抜擢したりといった方法が取られます。

公立の保育所の場合、昇進のための制度は私立よりも明確に定められているものです。公立の施設は、保育園を含め公務員の給与体系として算定表が存在していますので、就任するためにはまずは昇進試験を受け、その上で面接などを通して園長となるための就職活動を行います。

一般の保育士と園長の仕事の違い

園長となることで一般の保育士とは全く異なる業務を担当することになります。具体的には保育士は自分で担当する児童クラスを持ち実際の保育活動にあたりますが、園長の場合はそうした直接的な活動ではなく、むしろ保護者よりの活動をしていくことになるのです。

>>保育園の園長ってどんな仕事? | なるほど!ジョブメドレー

園長職に就任すると、近隣の施設の保育園・保育所の園長と交流する「園長会」に出席しなくてはいけなくなったり、行政機関とも関わりを持って仕事をしていくことになります。保育士の場合、仕事上で関わる人は自分の勤務する園のスタッフとその保護者関係者が主になりますが、園長になることで一気に人脈が大きく広がっていくでしょう。

外向きの活動ばかりでなく園内の運営方針を定めることも重要な園長の役割となり、行事の運営手配をどのようにするか指揮をとったり、重要な連絡事項を早めに保護者に伝えるための指示を出していきます。園長の仕事はその園内で勤務をしている人だけでなく、求人として出されているものに応募することも可能です。

園長職が募集されていることもあり

園長向けの求人は特殊な職種であることから、ハローワークなど一般向けに出されることはほとんどありません。しかし、昨今は保育士向けの求人サイトにおいて、御覧の通り「園長」というカテゴリで募集がかけられていることもしばしばです。

先の説明通り、園長は保育よりも経営者という側面が強く、保育士免許を持っていなくても就職や転職できる保育園が多くなっています。

そのため、一般企業で管理職として働いていた人が、セカンドキャリアとして園長職を選ぶことも少なくありません。組織の運営や経営に携わっていた人に向いている仕事と言えるでしょう。とはいえ、保育園という施設の役目を考えると、子育ての知識やスキルがある人が組織の長になってほしいと考える保育士の方も多いでしょう。園長として働くのに免許こそ不要ですが、子育てを経験している人のほうが向いていることに変わりはありません。

園長職は保育園だけでなく学童クラブでも園長先生として働くことができます。園長兼施設長としての仕事は責任を伴うやりがいのある仕事となるでしょう。